TOKYO・ARIAKE ARENA
2025 9.27 SAT., 9.28 SUN.
2025 9.27 SAT., 9.28 SUN. TOKYO・ARIAKE ARENA

【FEATURES】NORAH JONES

日本のフェス初登場となるノラ・ジョーンズ。新バンドで最新作『ヴィジョンズ』の楽曲群や過去の曲をどう鳴らすのかに期待。

text = Junichi Uchimoto

 

「Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN 2025」(以下BNJF)初日のヘッドライナーをノラ・ジョーンズが飾ると聞いたときは、ちょっと驚いた。改めて書くまでもないが、ノラ・ジョーンズはロバート・グラスパーと並んで現代ブルーノート・レコードを代表するミュージシャン。全世界で5300万枚以上の売り上げを記録しているデビュー作『ノラ・ジョーンズ(原題: Come Away With Me)』はブルーノート史上最も商業的に成功したアルバムであり、そこから新時代を迎えたレーベルの、ノラは言わば顔的存在だ。ならばBNJFのヘッドライナーを飾るのは何一つ不思議じゃない……どころか最も相応しいアーティストじゃないかと思われる方が大半だろうし、事実そうなのだけど、来日公演の回数こそ少なくないもののノラが日本で開催されるフェスに出たことはデビューからこの23年の間1度もなく、「遂に“フェスで“ノラを観ることができるんだ?!」という驚きと喜びがあったのだ。

今回ノラは、9月24日に日本武道館、25日に大阪城ホールで単独公演を行なったあと、27日のBNJFに出演するわけだが、フェスだと何が違うのか。尺は単独公演のほうが長いかもしれないが、“フェスだからやる”という曲もきっとあるだろう。あくまでも筆者の予想なので実際はわからないけれど、今でも人気が高い初期のヒット曲、例えば「Don’t Know Why」や「Sunrise」を演奏する可能性は、熱心な彼女のファンばかりが集まるわけではないフェスのほうがより高い。また、フェスともなればほかの出演者との共演という、単独ではなかなかないサプライズもあるかもしれない。ノラは国外の公演ではわりと気軽に誰かのステージに飛び入りしたりされたりするほうだし、それを楽しいと感じるオープンなミュージシャンだ。しかも先日発表された27日の第2弾アーティストは、なんとドン・ウォズ&パン・デトロイト・アンサンブル! 説明するまでもなくドン・ウォズはミュージシャン/プロデューサーであると同時にブルーノート・レコードの社長であり(2012年に就任)、ノラの良き理解者。『ピック・ミー・アップ・オフ・ザ・フロア』リリースの際にはプレスリリースの文章をドンが書き、最新作『ヴィジョンズ』リリースの際に真っ先にノラにインタビューしたのもドンだった。となれば、これはどうしたって共演を期待しないわけにはいかないじゃないか。いや、仮にそれが実現しなかったとて、信頼する友人であり社長でもあるドンが会場にいて、近くで観てくれているとなれば精神的にもいい影響をノラに及ぼすはず。いろんな意味でこのBNJFのノラのライブは、これまでの単独公演とは一味も二味も違った内容になるだろう。


Visionary Jones (curated by Don Was)

そんなノラの最新作『ヴィジョンズ』(2024年3月)は、クリスマスアルバム『アイ・ドリーム・オブ・クリスマス』(2021年10月)に続いてヴィンテージソウル・リヴァイヴァルのキーパーソンとも言えるマルチプレイヤー/プロデューサー/エンジニアのリオン・マイケルズと組んだ、それまでのノラのサウンドよりも生々しい響きが印象的だったアルバム。それを携えての“Visions Tour“は2024年5月からの北米ツアーでスタート(1年以上経つので、いい具合に熟しているはずだ)。バンド・メンバーはノラの親友サーシャ・ダブソン(ギター、バックヴォーカル)、ジョシュ・ラタンズィ(エレキ/アコースティック/アップライト・ベース、ギター)、サミ・スティーヴンス(鍵盤、バックヴォーカル)、ブライアン・ブレイド(ドラムス)で、まだ正式発表はされていないが恐らく日本もこの布陣となるはずだ。このうちジョシュとブライアンは『ヴィジョンズ』収録曲の録音にも参加しているし、サーシャも含めてノラとの活動のなかに度々登場する信頼高きミュージシャンたちだが、ブルックリンを拠点に活動するシンガー・ソングライターのサミ・スティーヴンスが参加するのはこのツアーが初めて。ノラ、サーシャ、サミと、5人中3人が女性シンガー・ソングライターというこの編成で、今回のライブの中心となる『ヴィジョンズ』の楽曲群のサウンドが音源といかに変わるのか、加えて過去の曲はどんな響きになるのか。そのあたりが最大の注目ポイントだ。

2022年10月の素晴らしかった日本公演とはまた大きく異なるサウンドが味わえるはずだし、女性3人の和気あいあいとした雰囲気も楽しそうだし、先に述べた通りフェスならではのマジックがきっと起こるであろうBNJFのライブ。観ずに済ませられるはずがない。

追記: 27日のBNJFに、新たにテネシー州ジャクソン生まれの個性あるシンガー・ソングライター、ヴァレリー・ジューンの出演が決定。ヴァレリーとノラは仲がよく、ふたりはノラの「Norah Jones is Playing Along」で共演もしている。この日も共演があれば最高なんだが……。期待したい。

 
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LIVE INFORMATION
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Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN 2025
2025 9.27 sat., 9.28 sun.
Open12:00pm Start1:00pm
https://bluenotejazzfestival.jp
★ノラ・ジョーンズは 9.27 sat. に出演!


▶︎9.27 sat.
NORAH JONES
DON WAS & THE PAN-DETROIT ENSEMBLE
VALERIE JUNE
and more

▶︎9.28 sun.
NE-YO
DAICHI MIURA
INCOGNITO
and more

内本 順一(うちもと・じゅんいち)
東京生まれ。エンタメ情報誌の編集を経たのち、音楽ライターとして約30年活動。ノラ・ジョーンズのデビュー時から度々インタビューを行ない、彼女のサイド・プロジェクトを含め全アルバム(国内盤CD)の解説を書いている。