Yokohama Red Brick Warehouse
2017 9.23 SAT., 9.24 SUN.
2017 9.23 SAT., 9.24 SUN. Yokohama Red Brick Warehouse

現代のヴォーカルシーンを牽引する、グレゴリー・ポーターとリアン・ラ・ハヴァス

現代のヴォーカルシーンを牽引する、グレゴリー・ポーターとリアン・ラ・ハヴァス

グレゴリー・ポーターはドン・ウォズが惚れ込んだジャズ・ヴォーカルの逸材、リアン・ラ・ハヴァスはプリンスが高く評価したシンガーソングライターの精鋭。キャリアもバックボーンもまったく異なる二人だが、その実力は共に高く評価されている、いま最も注目すべきシンガーたちである。

 ワールドワイドに幅広く興味深い音楽家を選出することで年々注目が高まっているスウェーデンのポーラー音楽賞は、今年、スティングとウェイン・ショーターに贈られた。そのセレモニーにおいて、スティングの「It’s Probably Me」をロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団をバックに歌ったのが、グレゴリー・ポーターだった。彼のバリトン・ヴォイスにスティング本人が魅了されている姿は、公式の映像にも映し出されていた。

 ドン・ウォズがポーターの才能に惚れ込み、ブルーノートからデビューさせるべく、自らCEOの就任を引き受けたというエピソードがあるが、ポーターの音楽に多くの人々が惹かれてきた理由は至ってシンプルだろう。ポーターは、マーヴィン・ゲイやビル・ウィザース、ナット・キング・コールなどからの影響と共に、マックス・ローチの『We Insist!』におけるアビー・リンカーンのヴォーカルを挙げている。それは、ポーターの代表曲の一つである「1960 What?」のエモーショナルな部分と結びついているものだからだ。ジャズ・シンガーとして「It’s Probably Me」を見事に歌いこなす一方で、メッセージ性が高く、アクチュアルな問題にもコミットできる“歌”を持っているのがポーターの魅力だ。プロデューサーのカマウ・ケニヤッタやピアニストのチップ・クロフォードらと作り出してきたサウンドからも、ジャズやソウルのコアな要素を大切にしつつも外へと開かれたものを感じることができる。

スウェーデンのポーラー音楽賞にてスティングの「It’s Probably Me」を歌い上げるポーター。
Gregory Porter performs It’s Probably Me at the Polar Music Prize Ceremony 2017

ARTISTS|グレゴリー・ポーター(9.24 sun.出演)

 

 ギリシャ人の父とジャマイカ人の母のもと、ロンドンで生まれ育ったリアン・ラ・ハヴァスは、22歳の時にデビュー・アルバム『Is Your Love Big Enough?』でいきなり注目を集める存在となった。スモーキーでちょっと翳りのあるヴォイスに、アナログな質感を大切にしたギター・サウンドが特徴的だった。その後、彼女はボン・イヴェールのツアーに抜擢されたり、プリンスの『Art Official Age』の録音にもフィーチャーされた。特にプリンスは彼女の才能を高く評価して、ジョニ・ミッチェルと比較していたほどだった。

 2015年にリリースされたセカンド・アルバム『Blood』で、彼女はその才能を大きく開花させた。ジャマイカのルーツにも向き合い、リズム面やプロダクション全般においても音楽性の幅を広げ、ビジュアルのイメージも刷新し、ソウル・シンガーとしても大きく成長を遂げた。最近では、ロバート・グラスパーの新曲「The Cross」でコモンと共演したことが話題を呼んだが、アメリカのシーンでの今後の活躍も期待されるところだ。ギターを弾いて歌う彼女の姿は、音楽性は異なるが、ベースを弾いて歌うエスペランサ・スポルディングに引けを取らぬほどに印象的で絵になる。

プリンスがジョニ・ミッチェルと比較していたというそのパフォーマンスは必見。
Lianne LaHavas NPR Music Tiny Desk Concert

 グレゴリー・ポーターとリアン・ラ・ハヴァス。キャリアもバックボーンもまったく異なる二人だが、共にシンガーの“いま”を感じ取ることができる注目のステージを見せてくれることだろう。

ARTISTS|リアン・ラ・ハヴァス(ソロ)(9.23 sat.出演)

原 雅明(はら・まさあき)
音楽評論家として執筆活動の傍ら、レーベルringsのプロデューサーやLAの非営利ネットラジオ局の日本ブランチdublab.jpのディレクターも務め、都市や街と音楽との新たなマッチングにも関心を寄せる。

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