TOKYO・ARIAKE ARENA
2024 9.21 SAT., 9.22 SUN.
2024 9.21 SAT., 9.22 SUN. TOKYO・ARIAKE ARENA

【FEATURES】CANDY DULFER

煌びやかなステージで世界中を歓喜の渦に巻き込む
ファンキー・サックス・クイーン、キャンディー・ダルファー

text = Miho Terachi

 

 2024年3月にドイツでスタートしたワールドツアー「We Funk Harder Tour」は2025年1月まで母国のオランダ国内はもちろんのことヨーロッパやアメリカを網羅し、極上のパフォーマンスを世界各地に届けている。そのちょうど中間地点の公演が、ここ日本となるようだ。

 彼女にとって“世界へのパスポート”となった楽曲「Lily Was Here」は、デビューアルバムを発売する前の年である1989年に発表された。デイヴ・スチュワート(ユーリズミックス)との共演シングルで、母国オランダのヒット・チャートでは首位に輝いた。その後の活躍ぶりを見ていると彼女の”パスポート”には有効期限がないようだ。

 翌年1990年には、ファースト・アルバム『サンクシュアリティ』を発売し、全世界で100万枚を越えるセールスを記録した。その後も彼女は30年以上もトップ・プレイヤーの座に君臨している。

 セカンドアルバムにはこんな逸話がある。彼女はミリオンセラーのデビュー・アルバムを超えるために、スタジオに寝泊まりしながら採算も考えずに泣きながら制作したという。あの「サックス・ア・ゴーゴー」である。

 ジェイムス・ブラウン・バンドでも大活躍していたメイシオ・パーカーや、ベイエリア発の世界最高峰ファンク/ソウルバンド、タワー・オブ・パワーを迎えた豪華作品となっており、アベレージ・ホワイト・バンドのカバー「Pick Up the Pieces」も収録されている。私たちにとって彼女のライブ定番曲としてお馴染みだが、ライブごとに進化し続けているからファンを飽きさせることはない。

「ステージに立つと『スーパーウーマン』になった気持ちになれるし、寝ても覚めてもライブが大好きだ。」と彼女は言う。観客を巻き込み、楽しませる方法を熟知している彼女こそがベテランのエンターテイナーだ。

 1969年9月19日、オランダのアムステルダム生まれのキャンディ・ダルファーは、サックス奏者である父ハンス・ダルファーの影響で6歳でサックスを吹き始め、11歳で初のレコーディングを経験し、12歳でヨーロッパのジャズフェスティバル「ノースシー・ジャズ・フェスティバル」にホーンセクションメンバーとしてデビューした。14歳で自身のバンド「ファンキースタッフ」を結成後、一躍母国オランダで人気者となり、更にマドンナやプリンスなどアメリカのポップ・ミュージシャンとの共演を重ねてきた。

 あのプリンスに「サックスだったらまずキャンディ・ダルファーを呼ぶ」と言わしめたファンキー・サックス・クイーンの来日公演は2年ぶりとなる。(昨年2023年はスムースジャズ・サックス奏者のデイヴ・コズ率いる「サマー・ホーンズ」のメンバーとして世界ツアーを回っていた)

 今年もブルーノート東京での10公演は予約開始直後にソールドアウト。絶大なる人気は衰退を知らず、ますます上昇するばかりだ。

 彼女の近年のステージは、歌入りの楽曲が多く構成されている。ヴォーカルをメインにしながら、その合間に自由自在にサックスを挟みつつ、ソロではしっかりとブロウする。歌わない曲はあえてインストゥルメンタルをプレイすると宣言し、サックスをたっぷりと聴かせている。

 ツアーメンバーの顔ぶれには、長年の相棒と言えるギタリストのウルコ・ベッドはもちろんのこと、2017年発売のアルバム「Together」の中でも美しいコーラスワークが光るタイトルチューンの作詞を担当したイヴァン・ペロティや、母国のライブハウスClub Dauphine で発掘したという若き才能のカミロ・ロドリゲスといった、お馴染みのヴォーカリスト陣に加え、キーボードのみならずヴォーカルも美しいジョルディ・カフスヴェル、そしてベースのザンダー・ブベロットに、ドラムスのキック・ワウダストラと鉄板のリズム帯が布陣する。

 ツアーで最も注目すべきは、ホーンセクションとしてサックス奏者のマーク・マンジャンとトロンボーン奏者のエルフェ・アルデムが名を連ねていることだ。今年7月に開催された「ノースシー・ジャズ・フェスティバル」でのライブ映像でもこの二人の活躍を見ることができる。今回は彼女のサックスの熱いブロウやヴォーカル&コーラスワークのみならず、ホーンセクションでのアンサンブルも堪能できそうだ。

 彼女のステージがカラフルで煌びやかなのは、彼女の美貌や衣装や演奏だけではなく、彼女の人柄や生き方、人生そのものが私たちを共感させてくれるからであろう。今回の来日公演もツアータイトル通り、更に進化したファンキーサウンドを堪能したい。

 
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LIVE INFORMATION
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Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN 2024
2024 9.21 sat., 9.22 sun.
Open12:00pm Start1:00pm
https://bluenotejazzfestival.jp
★キャンディ・ダルファーは 9.22 sun. に出演!


▶︎9.21 sat.
NAS / PARLIAMENT FUNKADELIC feat. GEORGE CLINTON / MISIA & ⿊⽥卓也BAND / TANK AND THE BANGAS / .ENDRECHERI.
▶︎9.22 sun.
CHICAGO / MARCUS MILLER / NILE RODGERS & CHIC / SNARKY PUPPY / CANDY DULFER

寺地 美穂(てらち みほ)
札幌市生まれ。15歳でサックスをはじめ、ニューヨーク留学時にサックス奏者としての活動を開始。2016年ビクターエンターテインメントよりメジャーデビュー。2021年からTHE JAZZ AVENGERSのメンバーとして参加。自身のバンド活動の他、桑田佳祐や緑黄色社会のサポートメンバーも務める。