Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN 2017 (9.23 sat., 9.24 sun.) 開催中止のお知らせ →
Yokohama Red Brick Warehouse
2017 9.23 SAT., 9.24 SUN.
2017 9.23 SAT., 9.24 SUN. Yokohama Red Brick Warehouse

新世代ジャズ・シーンを牽引するカマシ・ワシントンとクリス・デイヴ

新世代ジャズ・シーンを牽引するカマシ・ワシントンとクリス・デイヴ

ヒップホップ~ビート・ミュージック、レアグルーヴ・ファンも巻き込み、日本のメジャー・シーンともリンクした幅広い活動でジャズを一新する注目のアーティスト、カマシ・ワシントンとクリス・デイヴ。コミュニティや自身のルーツに重きを起き、ジャズをストリートに回帰させた彼らの最新ステージに迫る。

 近年DJ現場で訴求できるナンバーがどんどん生まれているが、その突破口となるのがカマシ・ワシントンとクリス・デイヴだ。ルーツをしっかりと感じさせるスタイルと、横の広がりを大事にした生き生きとした彼らの音楽を通して、過去のレコードや関連ミュージシャンを取り上げることができる。縦にも横にも広がりを持って今のジャズを提示できるのだ。

 MPCでのビートメイクを思わせるクリス・デイヴのサウンドは、ヒップホップ、特にJディラのファンを振り向かせ、ジャズドラムにおいてもトレンドのひとつとなった。このリズムスタイルがマニアのものでなくなったというムードは、宇多田ヒカルの最新作にクリスがフィーチャーされたことで更に加速している。現在メジャー・シーンでも万能に活躍するクリスだが、彼は地元ヒューストンのカシミア・ステージ・バンド(当時の盤はレアグルーヴとして人気)のトップドラマーだったクレイグ・グリーンからドラミングを受け継いでおり、その地域のルーツに根ざしたリズム感にグッとくるファンもいるだろう。

2015年、ブルーノート東京でのライブ。燃えるようなブロウに、若いオーディエンスたちが熱い声援で応えた。
2015年、ブルーノート東京でのライブ。燃えるようなブロウに、若いオーディエンスたちが熱い声援で応えた。
KAMASI WASHINGTON
2015 10.30 – 11.1
photography = Makoto Ebi

 カマシ・ワシントンの魅力は、パワフルで野生的なテナースタイルと、ヴォイスやストリングス・アレンジで変化を求めた、かつてのジャズ・シーンの片鱗を見るようなサウンド作りだ。それと同時に彼の存在を通して、地元L.Aの現代版“ザ・ユニオン・オブ・ゴッズ・ミュージシャンズ・アンド・アーティスツ・アセンション”のような、コミュニティ・ミュージックとしてのジャズの在り方を再認識できることも意義深い。

 今回のラインナップをみてみると、カマシ・バンドでは、前回の来日でゲスト・フィーチャーされた実父、リッキーが正式にクレジットされ、今回はキャメロン・グレイヴス(p)の参加も決定。彼のクラシカルかつ現代的アプローチは、リリースされたばかりのデビュー作でも聴くことができるが、フェスでのステージングも大いに楽しみなところ。先日リーダー作が発表されたばかりのメンバーも総動員で『The Epic』楽曲の最新アレンジを披露してくれるだろう。

アーティストからの評判が高い、インディペンデントな音楽をメインに紹介する米シアトルのFMラジオ局“KEXP”でのカマシ・ワシントンのライブ。
Kamasi Washington – Full Performance (Live on KEXP)

ARTISTS|カマシ・ワシントン(9.24 sun.出演)

 

 また、クリス・バンドのラインナップは、シンガーの起用が目立ち、彼のバックグランドにあるゴスペルのルーツに戻ったような新しいステージングになるに違いない。近年の公演でお馴染みのボビー・スパークスは、RHファクターでの参加となる代わりに、今回はマーク・キャリーとの来日公演も記憶に新しいダニエル・クロフォード(key)が加わる。フェラ・クティ・オマージュの楽曲でも人気の彼と、フランク・モカとのポリリズム的「Zombie」カヴァーで会場を沸かせるクリスとのタッグなだけに、彼らが繰り出す最新のアフロナンバーにも期待が高まる。

MPCでのビートメイクを思わせるクリス・デイヴが奏でるリズム。
DRUMHEDZ CHRIS “DADDY” DAVE IN NEW YORK CITY 01/06/2017 BOWERY BALLROOM

ARTISTS|クリス・デイヴ & ザ・ドラムヘッズ(9.24 sun.出演)

 

 2人とも年内の新作が予想され、最新トラックも発表済み。話題の渦中にある両バンドは、どちらもツイン・ドラム/パーカッションでのステージだ。厚みのあるリズムと、ルーツに根ざしたディープな音色を全身で楽しみたい。

2017年6月に公開されたChris Daveの最新ミックステープ『Chris Dave Presents The Drumhedz Radio Show』。
Chris Dave Presents The Drumhedz Radio Show (FULL MIXTAPE)

2017年9月にリリース予定の『Harmony of Difference EP』からの最新トラック「Truth」。
Kamasi Washington – Truth

大塚広子(おおつか・ひろこ)
DJ、音楽ライター。過去〜現代ジャズを繋ぐスタイルで、クラブシーンでの活動のみならず、評論家やミュージシャンを交えたイベントプロデュース、執筆、自身のレーベルKey of Life+でのリリース活動も。

【Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN 2017(9.23 sat., 9.24 sun.) 開催中止のお知らせ】

「ドナルド・フェイゲン&ザ・ ナイトフライヤーズ」は、ドナルド・フェイゲン氏の急病により、来日および本フェスティバルへの出演がキャンセルとなりました。フェイゲン氏来日キャンセルを受け実行委員会で検討しました結果、本フェスティバルの開催を中止することを決定しました。
本フェスティバルを楽しみにしてくださっていたお客様には、多大なご迷惑をおかけしますことを深くお詫び申し上げます。

2017年 9月 14日
Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN 実行委員会

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